パチンコ店の入り口に立てられた、新台入れ替えの自粛を知らせる看板=福島県南相馬市原町区
福島県の約200のパチンコ店が新台の入れ替えを自粛している。県内では10日、天皇、皇后両陛下を迎え、「平成」最後となる見通しの全国植樹祭がある。県外からの応援も含め、県警は数千人態勢で警備に当たる予定。警察官の立ち会いが必要な新台入れ替えを自粛し、陰から警備に協力しようというわけだ。
「第69回全国植樹祭ふくしま2018」への協力の為、新台入替を自粛させて頂きます――。
今回、植樹祭が開催される福島県南相馬市の会場近くのパチンコ店。開催を控えた8日、そんな文言の看板が立てられていた。
この店には現在、1023台のパチンコ・パチスロがあり、月に約100台を入れ替えるという。
新台入れ替えは客を呼び込む契機となるが、それを今回、自粛する。その訳を担当者に聞くと「植樹祭の警備にご協力するため、警察の立ち会いが必要な新台入れ替えは自粛を決めました」と説明した。
風俗営業法では、新台を入れ替えるには、都道府県公安委員会に申請し、承認を得ることが定められている。数人の警察官が店に出向き、いくつもの項目にわたって、申請通りの台が設置されたか1台1台検査する。
福島県では植樹祭を前にした5月中旬に、いわき市で南太平洋の島国の首脳などが集った「太平洋・島サミット」が開催された。
県遊技業協同組合連合会は島サミットと植樹祭の警備に協力しようと、県内に194店舗あるパチンコ店で、5月12日~6月10日の間、新台の入れ替えを自粛しているのだ。
県警は今回の自粛について「業界の判断なのでコメントする立場でない」と話す一方、一般的に新台入れ替えの検査については「現場の警察官は大変。長い日は数時間かかる」と明かした。
県などは、原発事故からの復興途上の姿を示そうと、植樹祭の機運を高めようと努めている。県遊連は「業界として、植樹祭の成功に協力したい」と話した。(小手川太朗)