一見したところ普通のバスのようだが、車内に入ると別世界が広がっている。待合席から情報入力席、そしてワクチン接種席があり、さらにワクチンを冷蔵する専用の「冷蔵庫」がある。車内でワクチン接種の全プロセスを行うことができる。北京日報が伝えた。
これは中国初の移動ワクチン接種車だ。研究開発と生産を担当した北汽福田によると、1台目は4月に北京市や河北省などで導入される見通し。使用開始後、新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける人はワクチン接種会場に行く必要がなくなり、ワクチン接種車のほうから出向いて接種を行う。
車内に入ろうとすると、入口の顔認証設備が瞬時にして検温を終える。車内の構造は大型路線バスに似ているが、座席数が少なく、前方と後方に少数の座席が設置されているだけだ。
将来的なワクチン接種シーンを考慮し、この車には多くの行き届いた設計が施されている。接種作業上の必要性を満たすため、車内にはクラウドデータ伝送機能を持つワクチン保管ケースの設置位置2ヶ所があるほか、220Vの商用電源が使用できる。車内のエアコンの稼働時間が12時間にのぼっても、ワクチンの恒温保管を100%保証できる。
同時に、接種を受ける人と医療従事者の状況を考慮し、車内にはUSBポート、テレビ、接種用の照明などの設備が備え付けられている。車外にはさらに移動式ステップと伸縮式テントがあり、接種を受ける人に快適な観察環境を提供する行き届いた設計だ。
北汽福田欧輝バス事業部製品ディレクターの程華氏は、「新型コロナウイルスワクチンの接種時に、リアルタイムのデータ伝送が必要になる。そのため車載Wi-Fiが特別に設置され、5Gネットワークと接続し、よりスピーディに情報を伝送できる。こうすることで市民のワクチン接種後、健康宝などのミニプログラムがより早く接種状態を反映できる」と述べた。
ワクチン接種車そのものの感染防止はどうなっているのだろうか。ワクチン接種車の前後にある天窓は実際には陰圧設備で、車外の新鮮な空気を車内に取り込むことができる。しかし車内の空気がそのまま車外に排出されることはなく、エアコン内の静電気吸着と紫外線設備により消毒される。こうすることで車内の新鮮で清潔な空気を保てる。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年3月16日