後半、ピッチを見つめる西野監督(左)と長谷部(右から2人目)=28日、ロシア・ボルゴグラード、長島一浩撮影
最後は警告数の差が「勝負」を分けた。サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会で29日未明(日本時間)、2大会ぶりの1次リーグ突破を果たした日本代表。決勝トーナメント進出のために、ポーランドに負けているのに守備的という終盤の戦術は異論もあるが、ゆかりの人々は選手たちをねぎらった。次の相手はベルギー。初の8強をかけ、今度は負けられない大一番だ。
【詳報】日本が決勝T進出 敗戦も、警告数の差で
カードを引き当てて、オリジナル日本代表をつくろう
日本代表のニュースや試合日程
「貴士!」
1点を追う後半20分、MF乾貴士(30)が途中出場すると、滋賀県草津市の飲食店では歓声があがった。集まっていたのは、乾が野洲高校(同県野洲市)サッカー部でプレーしていた当時の恩師や同級生ら約20人だ。だが終盤日本代表は攻めず、自陣周辺でボールを回すことに終始。累積警告数の差で、かろうじて1次リーグ2位に滑り込んだ。
乾は高校時代、勝ち越していても「引く」のが嫌いだったという。乾の1年先輩だった下西要さん(31)は「きっとやりきれなかったと思う。次はスタメン出場し、今回の気持ちをぶつけてほしい」という。
2018ワールドカップの試合日程・結果
【特集】2018ワールドカップ
MF本田圭佑(32)を指導した金沢市の星稜高校サッカー部の河崎護監督(58)は自宅で観戦。「予選で敗退したら、バッシングを受けただろう」と戦術に理解を示した。西野朗監督はコロンビア、セネガル戦の先発メンバーから、ポーランド戦では6人を入れ替えた。「先発を外れた主力をある程度休ませることができた。コンディションとしては最高の状態で、決勝トーナメントに挑むことができる」と評価。出場しなかった本田についても「うずうずしているはず」。
DF昌子(しょうじ)源(25)を指導した米子北高(鳥取県米子市)の城市徳之総監督(51)は「選手は前半アグレッシブに攻めたが、後半は監督の勇気ある指示に従ったのだろう」と話した。試合後、昌子にLINE(ライン)でねぎらいの言葉を送ると、「次からが勝負です」と返信があったという。
フル出場したMF長友佑都(31)は、試合後の会見で、終盤の戦術について、「見苦しい試合になったかもしれない」と心境を語った。愛媛県西条市にある母校、西条北中学校サッカー部で顧問として指導した井上博さん(48)は「最後まで走りきって球際へ行き、1対1にしっかり対応して佑都らしいプレーはできていたと思う」とエールを送った。
FW岡崎慎司(32)は後半開始早々に負傷交代。出身校の滝川第二高(神戸市西区)の学年主任で現在教頭を務める河合俊成さん(60)は言う。「次があるので期待している。大会はまだ続く。チャンスがあればまた出てほしい。岡崎は私たちの誇り」