私立小中学校に子を通わせる低収入の家庭を対象に、授業料として年10万円を補助する事業を文部科学省が始めたところ、想定を超える収入の家庭から申請が相次ぎ、約700件が不支給とされていたことがわかった。文科省は仕組みに不備があったとして要件を見直し、審査にあたる都道府県にも今月、通知した。
この事業は年収400万円未満の世帯を想定し、昨年度から始まった。低収入世帯が子を公立小中学校ではなく、年間平均で授業料が40万円余かかる私立に通わせる理由を調べる狙いもあり、5年続ける計画だ。
保護者の年収が約400万円未満であれば、モデル世帯では市町村民税のうち所得に応じて課税される「所得割額」が10万2300円未満になる。このため、文科省はこの額を申請の要件として設定し、2017年度には約2万1千件の申請があった。
ところが、申請者の中には「給与が1千万円以上」などと、想定を大きく上回る年収のある世帯が多く含まれていた。給与と別に、別の仕事や不動産による損失があった場合、相殺して市町村民税の所得割額が減り、要件にあてはまるためだ。文科省はこうした申請について「経済的に厳しい状況にあるとは言えない」との考え方を示し、各都道府県は約700件を不支給とした。
こうした経緯を踏まえ、文科省…