松本零士のマンガ「銀河鉄道999」が舞台化され、大阪・梅田のシアター・ドラマシティで上演中だ。アニメ版も有名な人気作で、主人公の鉄郎を演じるのはミュージカル界のスター中川晃教(あきのり)。その鉄郎があこがれを抱く女海賊エメラルダスを、宝塚歌劇元宙(そら)組トップスターの凰稀(おうき)かなめが演じている。
機械化人に母を殺された鉄郎が、敵を討つため謎の美女メーテル(ハルカ)とともに銀河超特急999号に乗って旅をする物語。すでに東京と北九州で上演された。
「正直、SFは舞台化がすごく難しい」。宝塚でのトップお披露目が「銀河英雄伝説」のラインハルト役だった凰稀ならではの感想だ。今作は、映像も駆使して劇場全体を宇宙空間のようにみせており、「新しい感覚」という。
原作のイメージを壊さないことにもこだわる。「怖いですよ、やっぱり。ポスターの段階で『え、違う』って言われたら命取りになる」。今回もマントやブーツの長さ、ベルトの位置と細部まで追究した。サーベルの立ち回りでは「男っぽい」と言われ、華麗でしなやかに見えるよう稽古を重ねたという。
実は鉄郎を演じる中川とは同い年。開幕前に大阪で開いた会見では、中川が「初めてお会いした時、どの方とも美しさが違うと目がハートになった。目の奥に秘めたオーラが作品の役柄とリンクするんです」と告白。凰稀も「舞台で鉄郎の瞳が訴えかけてくることをいつも見てるんです。それが毎回違うから面白い。舞台の醍醐味(だいごみ)です」と返し、息もぴったりだった。
退団から3年。「あっという間だった」と振り返る。マリー・アントワネット役などの舞台をはじめ、テレビドラマやシャンソンなど挑戦が続く。いま興味があるのは声優だ。「人間の感情を声だけで表現することをやってみたい。違う分野に手を伸ばして勉強して、演者としてもっと大きく成長できれば」
「『銀河鉄道999』 ギャラクシー・オペラ」は29日まで。坪田文脚本、児玉明子演出。1万1500円。(尾崎千裕)