週末に本州に上陸するとみられる台風12号。29日ごろには、豪雨に見舞われた西日本にも近づくとみられ、住民や自治体は警戒を強めている。
川の決壊で広範囲に浸水し、51人が死亡した岡山県倉敷市真備(まび)町。町内の4河川の堤防が切れ、真谷(まだに)川と末政(すえまさ)川の堤防の復旧工事が終わっていない。県は決壊箇所に盛り土や土囊(どのう)を積んで備える。台風が近づいたら水位や堤防の状態を確認し、異常があれば市に伝える態勢を整える。末政川の決壊現場の近くに住む自営業の佐々木浪夫さん(58)は「台風がそれるのを願うしかない」と不安げだ。
土砂崩れで12人が死亡した広島県熊野町では12日以降、避難情報の発令を普段より一段階早めている。通常、大雨警報の際に出す避難準備の情報を注意報の段階で発令。その後、警報になれば避難勧告に切り替える。豪雨後は雨がほぼ降っておらず、担当者は「どうなるか未知数」と話す。
熊野町で避難指示の対象になっている川角5丁目の大原ハイツでは113世帯315人が全員避難中だ。町は火、木、土曜の早朝に限って一時帰宅を認めてきたが、台風が近づく28日は中止を検討している。
豪雨で緊急放流した後、肱(ひじ)川の下流で氾濫(はんらん)が起きた愛媛県の野村ダム(西予市)と鹿野川ダム(大洲市)。国土交通省四国地方整備局によると、現在の予想では警戒が必要な段階ではないという。「強い降雨が予想されれば事前放流の準備に入る。先日の放流の反省から、住民への伝達についても早めに動くようにする」と説明する。
氾濫で4人が死亡した大洲市では、多くの防災無線が浸水した。市の担当者は「設備の更新は間に合わない。避難勧告などの情報が市民にすみやかに伝わるよう、地元消防団などとも連携していきたい」と話す。