福岡市に住む115歳の田中カ子(かね)さんが今月、国内最高齢となった。入所する老人ホームで27日、取材に応じた田中さんは歩いて椅子に座り、笑顔で話した。「おいしいもん食べて、お勉強して、遊びをして、これ以上ないです」
田中さんは、日露戦争が開戦する前の1903(明治36)年1月、福岡県和白村(現福岡市)で9人兄弟の三女として生まれた。第2次世界大戦では、夫や息子が出征。男手がないなか、家業のもち屋を切り盛りした。
終戦後ももち屋を続け、63歳の時に隠居。その後は、いとことハワイを訪れたり、全国に暮らす子や孫らを訪ねて回ったりしていたという。
13年前から老人ホームに入所する。施設では「入所者のお母さん的存在」(施設の職員)。103歳の時に大腸がんを患ったが、飛行機で上京し、手術を乗り越えた。
その後は大きな病気をしていない。周りの人たちとの会話も楽しむ。日中は、施設内を手押し車で散歩している。体の悪い入所者の体をさすって「頑張りんしゃいね」と声をかけることもあるという。
長寿の秘訣(ひけつ)は「オセロ」。午前8時の朝食の後、施設の職員らと勝負するのが日課だ。負けず嫌いな性格で、勝つまで何局も続けることもある。甘い物が好きで、缶コーヒーや栄養ドリンク、炭酸飲料をあわせて毎日3本は飲む。
27日の昼食。「おいしい、おいしい」とにこにこしながら、ご飯やおかずを自分でもりもりと食べた。
何歳を目指したいかと聞かれた田中さんは「あと5年くらいかな」と満面の笑み。しきりに手を合わせながら「みんなのおかげ。死ぬ気がせんです」と話した。
これまで最高齢だった横浜市の女性が今月22日に亡くなり、田中さんが最高齢と認定された。(柏樹利弘)