在日米軍をめぐる事件や事故の続発を受け、基地を抱える15都道府県でつくる渉外知事会は30日、犯罪防止を米軍に義務付ける規定などを日米地位協定に設けるよう政府に要請した。従来は「事件後」の刑事手続きが主に議論されてきたが、新たに「予防」の視点を加え、地位協定改定への対米協議を促した。
米軍の扱いや権利を定める日米地位協定は1960年の締結後、一度も改定されていない。同知事会は「多様な基地問題の根底に地位協定の課題がある」として毎年、国内法を米軍に適用させるなどの改定を国に要請。沖縄県うるま市の女性が殺害され元海兵隊員が起訴された事件(2016年)や神奈川県の相模総合補給廠(しょう)での爆発火災(15年)などを受けて昨夏から内容拡充を検討していた。
同知事会はこの日の総会で、犯罪防止の義務化とともに、米軍が基地の管理で住民の安全確保に責任を負う規定の新設も求める特別要望文を決定。会長の黒岩祐治神奈川県知事らが外務、防衛両省に提出した。
同知事会事務局によると、応対した佐藤正久外務副大臣は「改定は難しいが、運用改善でできることは、効果的に進めていく」と述べた。
日米地位協定をめぐっては、全国知事会が27日、抜本改定を求める提言を全会一致で採択している。(吉村成夫)