西日本豪雨では、アパートやマンションを業者が一括で借り上げ、家賃も業者からオーナーに一括で支払われるサブリース(一括借り上げ・転貸)契約の物件を含む賃貸住宅にも被害が出た。業者がオーナーや入居者を支援する動きもあるが、契約内容や保険の入り方によっては、家賃の支払いが停止したり、オーナーに多額の修繕費負担が生じたりする可能性がある。
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大東建託グループによると、岡山県や福岡県を中心に、グループで管理する賃貸アパートで床上浸水350棟、床下浸水224棟、土砂流入4棟などの被害があった。被災したオーナーや入居者向けに空き部屋を3カ月間、無償提供している。22日現在で629世帯が利用しているという。
同社がオーナーと結ぶサブリース契約では、天災や火災などで人が住めなくなった場合、オーナーに家賃は支払われない取り決めになっているという。今回については8月分の借り上げまでは、入居者がいなくても支払いは続けることにしたが、9月以降の家賃については建物が修繕されるまで支払われないという。
建物の修繕費用は、オーナーが水害補償のある火災保険に入っていれば、全部または一部が支払われる可能性が高い。同社によると、今回被害を受けたアパートオーナーのうち約6割が加入している。加入していないと、全額オーナー側の負担になる可能性がある。
レオパレス21も、被災したオーナーへの対策に乗り出しているが、建物の修繕はオーナーの一部自己負担が生じる可能性があるという。(大津智義)