酷暑に心身がヒヤッとする「京都妖怪タクシー」が走り出した。車内で怪談を聞き、舞台となった場所を回る。助手席には妖怪「ぬらりひょん」のグロテスクだが、愛敬もある人形が腰かけている。
運行するのは興進タクシー(京都市南区)。千年の都ならではの恐ろしい伝説や怪談が、府内各地に残ることに注目。「妖怪伝説を訪ねる旅も需要があるのではないか」と実現にこぎつけた。取締役の浜田典亨(のりゆき)さん(57)は「魔界への旅へようこそ。気分だけでも涼んでほしい」と話す。
妖怪伝説が残る京都市内の寺など5カ所ほどをめぐる。車内では、これから訪れる場所にまつわる怪談を聴きながら移動する。怪談を研究する京都精華大(京都市左京区)の学生グループ「百物語の館」が朗読したものだ。案内する運転手4人も怪談を学び、車のおはらいも済ませた。
6月から運行を始め、今月は連日の予約が入っている。グループでの利用が目立つが、府外から来て1人で乗る女性もいた。妖怪のいそうな雰囲気を楽しみたいせいか、今のところ日中の希望者はいない。
運行は10月15日まで。所要は約4時間。普通車(4~6人乗り)は2万400円、ジャンボハイヤー(9人乗り)は2万4千円。駐車料金や拝観料、有料道路料金は別途必要。利用2日前までに要予約。問い合わせは同社(075・681・4481)。(安倍龍太郎)