東京医科大の入試不正に関する調査報告書の要旨は次の通り。
東京医大「寄付増やしたかった」 不正合格の親から謝礼
調査結果
◇臼井正彦前理事長と鈴木衛前学長による不正行為
東京医科大は2016年度、文部科学省のブランディング事業に計画書を提出したが選ばれなかった。文科省の佐野太前科学技術・学術政策局長の息子は17年2月、同大を受験した。前理事長のリストに名前はあったが、合格には大幅な加点が必要だったため、得点調整しなかった。
1996年より後のころ、同大は入試委員同士の協議で合格者の調整をしていたようだ。2008年、週刊誌報道を受けて文科省が問題視。「入試委員への関係者の接触は禁じる」ことなどが確認された。
その後の経緯は定かでないが、同窓生の子弟を合格させにくくなったため、2次試験の点数が調整されるようになった。しかし、2次試験は点数に差がないうえ、調整が明るみに出る可能性があったため、1次試験の素点に不正加算するようになった。17年度一般入試では、13人に8~45点の加算が確認された。前理事長と前学長は、依頼された受験生が合格した場合、大学に寄付してもらうほか、個人的に謝礼を受け取ることもあったようだ。少なくとも06年度入試以降は現役か浪人か、男子か女子かによる調整がされていたようだ。推薦入試でも、得点調整が行われていたようだ。
前理事長は前局長らと会食するなどし、助言・指導を受けた可能性が高い。17年、東京医大はブランディング事業に選定され、補助金計4089万円の交付を受けた。
前局長の息子は18年2月に同大を受験した。1次試験が226点で282位だったため、前理事長らは10点加点すれば補欠で繰り上げ合格できると考え、加算した。順位は169位になり、1次試験に合格した。2次試験の結果、87位となり個別の得点調整はされなかったが、属性による調整は受けた。最終的には74位で、1次試験での加算がなく、2次試験で得点調整もなければ、173位だった。226位まで補欠の繰り上げ合格の対象だったので、優遇がなくても合格していた可能性がある。
本件は不正によって補助金を受けたと評価される可能性が高い。入試の公正も害した。理事長や学長が自ら「試験の公平性を損なう行為」に手を染めており、大学の自殺行為に近い。
◇18年度入試における他の得…