花咲徳栄は第４日の８日、８―５で鳴門（徳島）を下して初戦を突破、連覇に向けて好スタートを切った。終盤に打線が爆発し、「強打の徳栄」を見せつけた。次は、９日第１試合の横浜（南神奈川）―愛産大三河（東愛知）の勝者と、１４日に対戦する。

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甲子園初打席は、相手を追う場面だった。

二回２死二塁。８番新井英一選手（３年）は「とにかく１点を返す」。試合前、相手エースは制球に乱れがあると聞いていた。外角真ん中に来たカーブに「体が無意識に反応した」。打球は左前に放たれ二塁走者が生還、チームに初得点をもたらした。

チームが発足した当時、実は主将を任されていた。

昨夏、当時の千丸剛主将に「おまえは声が出ていて、人に厳しく言える。チームが成長できる。主将に推薦したから頑張れよ」と励まされた。先輩たちは、その後、甲子園で優勝。言われた通り、新チームでは新井君が主将になった。

だが、その後の秋は打てずに悩んだ。「打てなくても主将としてチームをどうにかしよう」と自らを奮い立たせたが、秋の関東大会が終わった時、岩井隆監督に言われた。

「明日から主将を変える」

「新しい主将の方がチームをまとめられる」と思いつつ、一方で「最後までやり通したかった。悔しい気持ちもあった」。だが、チームが強くなるためには仕方のないことだと気持ちを切り替えた。

冬は打力をつけるためのウェートトレーニングや、通常より重い１・２キロのバットを振り続けた。

この夏、新井君はいつも人一倍大きな声で盛り上げ、試合でも下位打線ながら本塁打や安打を放った。

「主将を降ろされたからこそ頑張れた。今日の１本は、その結果です」

試合後、新井君は「夢だった場所に立ててうれしかった」と目を輝かせた。だが、次の瞬間には「ここで終わりじゃない。チームに貢献できるようやっていく」と真一文字に口を結び、次も活躍すると誓った。（高絢実）