8日の第2試合で敗れた鹿児島実の中堅手、山下馨矢(けいや)君(3年)は宮崎出身。第1試合で勝った日南学園(宮崎)の捕手、蓑尾(みのお)海斗主将(3年)とは幼なじみだ。自分の分まで活躍してくれ、とエールを送る。
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この日、鹿児島実の試合前。山下君は、日南学園が丸亀城西を2―0で下すのをテレビで見ていた。「自分たちも負けられない」
宮崎県日南市出身。日南学園の蓑尾君とは小学校の同級生で、同じ軟式クラブチームに入り、山下君がエースで蓑尾君が主将だった。家も徒歩1分の近さ。休日は、一緒にキャッチボールをして遊んだ。
同じ中学に進学したが蓑尾君とは別のチームへ。2015年、甲子園に出場した鹿児島実の選手をテレビで見て、礼儀の良さに憧れて県外の鹿児島実へ進むことを決めた。日南学園に進む蓑尾君からは「試合に出られないんじゃないか」と心配された。ただ蓑尾君の内心は「負けられない」。
宮崎を離れる前、蓑尾君から言われた。「レギュラーに入らなかったら許さないからな」。すぐに「おまえもだよ」と言い返した。
そして、今夏。あこがれの場所で、ライバル同士として再会した。開会式のリハーサル前。宿泊先や厳しい練習について話した。「おまえら、先に勝っておけよな」。そう告げた。
試合前日の練習球場。蓑尾君は山下君の練習の様子を見ていた。ノックを待つ際の落ち着きのなさは昔と変わらなかったが、野球をしているときの表情の真剣さに驚いた。「たくましくなったんだな」と感じた。
迎えた初戦。鹿児島実は金足農(秋田)の相手投手をなかなか捉えられなかった。山下君は最後の5打席目、直球に狙いをつけてレフト前へ運んだ。得点にはつながらなかったが「1本打つという目標は果たせた」と胸を張った。
これからは、幼なじみを応援する。日南学園は14日、常葉大菊川(静岡)と戦う。蓑尾君は「馨矢の分まで勝ちたい」。(小瀬康太郎、高橋健人)