昭和を代表する洋画家・小磯良平(こいそりょうへい)(1903~88)が太平洋戦争末期、戦死した特攻隊員を描いた肖像画が神戸市内で見つかった。市立小磯記念美術館が9日発表した。小磯は戦時下、陸軍の要請で中国などに4回従軍し、プロパガンダのための戦争画を制作したが、特攻隊員の肖像画が確認されたのは初めて。
当時は、ほかの多くの画家も戦争画を描いたが、小磯は戦後、自身が制作した戦争画の展示や画集、雑誌への掲載を嫌がったという。美術館は「戦争画とは異なる重みがあり、歴史資料としても価値がある」としている。
肖像画は縦41センチ、横32センチの油彩。右下隅に「良平謹写」との署名がある。美術館の廣田生馬(いくま)学芸員(51)は「小磯の字に間違いない。背景の塗り方なども小磯の筆遣い」と説明する。
隊員は陸軍特別攻撃隊「靖国飛行隊」の谷川昌弘大尉(戦死後、少尉から昇進)。1944年11月26日、フィリピン・レイテ湾で戦死した。23歳の若さだった。当時の朝日新聞は1面で、谷川大尉の死を顔写真入りで報じている。
廣田さんの調査では、谷川大尉…