(11日、高校野球 報徳学園3―2聖光学院)
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12年連続出場となる聖光学院(福島)は11日、報徳学園(東兵庫)との一戦で惜敗した。記録員でベンチ入りしたマネジャーの内山博道君(3年)は「ミスが多く、自分たちの持ち味が生かせなかった」と悔しがった。
中学まで強肩強打の捕手だった。聖光学院に進んだが、右肩と右ひじのけがが悪化。一昨年の11月、横山博英部長から「マネジャーになってみないか」と持ちかけられた。1日だけ休みをもらい、福島県須賀川市の実家に戻って両親に相談した。「やってみなよ。日本一のマネジャーにならないとね」。この一言で決意を固めた。
練習の手伝いを始め、仕事は多岐にわたる。そんな中、同学年に左投手が少ないため、「せめてバッティングピッチャーくらいできるようになれば」と左投げの特訓を始めた。
初めは投げ方も分からず、球がどこへいくかも予想がつかなかった。タオルでシャドーピッチングを繰り返し続けた。球速は100キロ弱だが、次第に制球は安定。打撃投手を務められるまでになった。
7月、レギュラーと控え選手との壮行試合で、打者1人限定で登板。四球に終わったが、見守った部員全員が涙を流した。
甲子園入りし、左腕のエースがいる報徳学園との対戦が決まった翌日、打撃投手を務める内山君の姿があった。「うっちーのお陰でこのチームは成り立ってきた」と矢吹栄希主将(3年)。日本一のマネジャーにする――。チームのもう一つの目標になっていた。
聖光学院は走者を毎回出しながらも大量得点につながらず、終盤に勝ち越された。試合後、内山君は「日本一幸せなマネジャーでした」と感謝の言葉を口にした。大学に進んでも野球部でマネジャーを続けるつもりだ。「一度決めた自分の道。やるからには最後までやり通したい」(飯沼優仁)