2025年、政府は国際博覧会(万博)を再び大阪に誘致しようとしている。11月の開催地決定まで3カ月となり、大阪では25日にPRイベントが開かれた。ただ、太陽の塔のもとで人々が熱狂して半世紀、万博のありようは変わりつつある。1200億円もの赤字を出したドイツの街を訪ねた。
【特集】大阪万博、夢よ再び
【解説動画】大阪万博、実現のポイントは 開催地決定へ
ドイツ北部の商業都市ハノーバー。「人間、自然、技術」をテーマに、2000年に万博を開催した街だ。先端技術や発明品の展示が主な目的だった過去の万博と違い、環境問題を切り口に、「課題解決」をめざす初の万博だった。
市内のハノーバーメッセオスト駅から徒歩5分。会場だった敷地の一角に、私営博物館「エクスポージアム」がある。当時展示されていた作品やパネルなどが並ぶ。
前館長のゲルハート・キアーさん(70)の印象に残るのは、ドイツのテーマ館だ。当時、パソコンや家電製品、衣服や食品などのごみを展示。肥大化する人間の欲望に対する問いかけを表現した。また、天井から床に向かって生える木や草花の展示は、人間が地下で暮らすようになった未来の自然を想像して作られた。「ハノーバーは世界の大教室でした」と振り返る。
ただ、4千万人を見込んだ入場者数は半分以下の1810万人にとどまった。途中から入場料約3500円を半額程度に値下げし、夜間の割引チケットも導入した。大型スクリーンで映画を上映したり、音楽のコンサートを増やしたりもしたが、総事業費約2415億円に対し、約1200億円の赤字を抱えて閉幕した。赤字は政府と地元のニーダーザクセン州が補塡(ほてん)した。
地元紙記者のコンラッド・フォ…