地震や津波、避難に関する知識を身につけたり、判断力を養ったりする「防災教育ゲーム」が多様化している。かるたや神経衰弱、すごろくといった気軽に遊べるスタイルのものも。9月1日は防災の日。様々な年代層に楽しみながら学んでもらいたいという狙いがある。
「皆さんは自主防災会の役員です。避難者を体育館や教室に振り分け、避難所を運営してください」
東京都調布市立染地小学校で開かれた防災教室。災害時の避難所運営を模擬体験するゲーム「HUG(ハグ)」に地域住民や教員、児童ら約70人が8チームに分かれて参加した。
HUGは静岡県が2007年に開発。避難者の年齢や性別、それぞれが抱えた事情などカードが示す情報に合わせて、配置や対応を決める。明確な答えはなく、対策や課題を考えるのが目的だ。同県によると、16年度末までに約8千セット(1セット税抜き7400円)が売れたという。
「3千人いる避難所で2千食を確保した場合、どのように配るか」など判断に迷うケースを模擬体験する「クロスロード」や、地図上に避難場所や危険箇所を記す「DIG(ディグ)」といったゲームとともに、HUGも広く知られるようになった。
社団法人「防災教育普及協会」(東京都千代田区)によると、防災教育ゲームは東日本大震災をきっかけに増え、少なくとも50種類以上あるという。取り上げる災害・防災のテーマも台風や震災、避難所生活など多様。自分で考える力を育むことを狙ったゲームや、知識の習得に重きを置いたゲームがある。
例えば、東北大学が15年に開発した「減災アクションカードゲーム」は、とっさの判断力を養うために作られた。用意するのは、危険から身を守るための行動が描かれた27枚の絵札。「あなたは家でひとりでいます。大きな地震が起きました。津波警報も出ました。さあどうする」など、自分の置かれた状況が読み上げられた後、かるたのように並べられた絵札から、「情報収集する」「逃げる」など最善と考えた行動を示す絵札を取り合う。3秒以内に全員がいずれかを取り、理由を答えるゲームだ。同大の久利美和講師(48)は「答えは一つではない。限られた状況の中で、自分の身を守る判断力を養ってもらえたら」と狙いを話す。
一方、愛知県一宮市のNPO法…