サッカー日本代表が3日、札幌市内で森保一監督の下、2022年のワールドカップ(W杯)カタール大会に向けてスタートを切った。招集された23選手のなかには、森保監督がJ1広島時代に3度優勝に導いたチームの中心もいる。MF青山敏弘だ。16強入りした今夏のW杯ロシア大会直前に日本代表に選ばれたが、けがで離脱した32歳。強い気持ちで臨んでいる。
サッカー森保新体制が始動 国際親善試合に向けて合宿
「うーん、やっぱり、W杯に出たかったです。その思いがしっかりモチベーションとして続いているから、ここに来ている」
4年前のブラジル大会1次リーグで1分け2敗という惨敗を経験した悔しさを晴らす機会を、手にすることが出来なかった。約4カ月前。W杯ロシア大会を控えた代表合宿で右ひざ痛でチームを離れた。そのときからの気持ちを聞くと、青山は真っすぐこちらを見て答えた。
代表は世代交代のまっただなか。W杯ロシア大会後、8年主将を務めた長谷部誠(フランクフルト)や本田圭佑(メルボルン・ビクトリー)が最後のW杯だと表明。青山自身も年齢を考えれば、4年後を目指すことはたやすくない。それでも青山は言う。「先輩方は引退していっていますけど、自分はできる限りのことをやって今ここにいると思う。それを続けて、日本代表で日本の勝利に貢献出来ると思っている」
中盤の底から長短のパスで組み立て今季首位をひた走る広島の心臓は、今回の代表では最年長。岡山・作陽高から広島一筋15年目の責任感の強いベテランは、プレー以外に期待される役割を心得ている。「若い選手は物おじしない。サッカーでは全く問題ないと思う。それ以外の部分で日本代表としての行動やホテルでのコミュニケーションをとっていきたい」。3日の練習初日。青山はランニングで先頭集団を走り、周囲に積極的に声をかけた。
広島で監督と選手として5年半をともに過ごした森保監督のサッカー観は、知り尽くしている。「どれだけ自分を犠牲にして走れるか、チームとして戦えるかを(監督は)求めている。みんなでそこをやっていきたい」。監督がベースとする戦術を浸透させるためにも動く。「ミーティングではわからない部分はある。グラウンド以外でも伝えていく。チームとしての狙いを伝えていければいい」
新監督とともに、青山にとっても新たな一歩となる初陣は7日の国際親善試合・チリ戦(札幌ドーム)だ。(堤之剛)