一時失職したが、7月に県知事の裁決で復職した熊本市議の北口和皇(かずこ)氏(60)が3日、議会に出席した。北口氏が公の場に姿を見せるのは復職後初めてで、議会出席は約5カ月ぶり。
北口氏は本会議開会直前の午前10時前に議場に到着。失職前と同じ位置の席に座った。議会中盤には、北口氏に今後も社会的、道義的責任を求めるとする決議案がはかられた。復職しても、これまで市が認定した不当要求行為28件と、市議会による辞職勧告が軽んじられるものではないとする内容で、可決された。議会終了後、朽木信哉議長と議長室で面会し、復職後に3週間以上音信不通となり、報酬支払いが滞ったことについて、不誠実で議員の職責を果たしていないとして厳重注意を受けた。
その後、北口氏は報道陣に対し、音信不通の理由について「ハチの大群に襲われて逃げるときに投げた携帯電話が水たまりに落ちてしまった。2台目は、ヒマワリを植える作業中に大雨に降られ、つなぎの胸ポケットに入れていたら、うまく作動しなくなってしまった」と説明。また、市議会が兼業禁止に触れるとして失職させたことについて、「強硬に行われた」と述べた。県の裁決については「妥当なもの」とした。
北口氏が組合長だった市漁協が、市からの業務委託費など約122万円の返還要求に応じていないとして市は先月、北口氏に説明を求める文書を送ったが、北口氏はこの日、「市漁協の理事会で、市漁協代理人が送付した文書で回答済みとの意見で一致した」とする回答書を市に出した。代理人が今年1月に市に送った文書では「各支出に何ら不適正な点があるとは考えていない」とした上で、返還を求める以上、法的根拠を示すよう求めている。(柴田菜々子)