台風21号の影響について、関西に拠点を置く各社は被害状況の確認に追われている。
パナソニックは4日は主要な工場を止め、本社も在宅勤務にしていたため、5日は被害状況の確認に追われた。輸出用の電子部品を関空内の倉庫に保管しているが、高潮の被害を受けたか確認できていないという。関空が復旧するまでは、別の空港から出荷することを検討する。
村田製作所は、スマホや自動車などに使われる積層セラミックコンデンサーを関空経由でアジアや欧米に輸出しているが、成田など別の空港から輸出できないか調整を進めた。京セラも、関空から輸出している部品を他の空港に振り向ける措置を検討している。
日立造船は大阪湾岸にある工場の操業を止めている。工場に向かうバスや電車が始発から運休しているためという。近くにあるシャープ本社は工場の操業を続けているが、鉄道や朝の工場行きのバスが運休し、午前中は一部の従業員で工場を動かしている。同じ湾岸にある川崎重工業の工場では、被害状況の確認を急いでいる。
企業間物流大手のセンコーグループホールディングスは、駐車場にとめていた複数のトラックが横転し、大阪湾岸にある倉庫の屋根がめくれた。5日朝から被害確認を始めたところで、「現時点で把握しているのは一報段階」(広報)という。
住宅メーカーは台風被害の確認を進めている。積水ハウスや大和ハウス工業は関西や四国、北陸地方などを中心に顧客や住宅、マンションなどの被害状況の確認に追われている。積水は「実際の被害のほか、困っていることはないかなども聞き取るようにしている」(広報)という。
NTT西日本によると、関西空港の一部で加入電話やインターネットなど計約800回線が使えないという。連絡橋にタンカーが衝突した影響で、通信ケーブルが故障したため。いつ復旧できるかは未定という。