兵庫県芦屋市の臨海部にある南芦屋浜地区では、住宅街が台風21号による高潮に襲われた。
台風接近どうする? 備え確認し、早めに避難を
水害への備えは? 台風に襲われたら、街で身を守る
護岸から道路を1本隔てた同市涼風町の戸建てに住む会社経営の男性(60)によると、浸水が始まったのは4日午後2時すぎ。高さ約5・2メートルの護岸を越えて、海水が一気に敷地に流れ込んできた。
みるみる水位が増し、5分ほどで数十センチの高さに。「まるで津波のようだった。このままでは家が流されると思い、死の恐怖が頭をよぎった」と話す。漂流してきたコンテナが護岸にぶつかり、ゴーン、ゴーンと音を立てていた。
車で逃げようとしたが、車内は床まで水につかっていた。座席に座った途端、車から煙が上がり、水をかけて消火した。辺りの道路は、車のタイヤの半分が隠れるほど冠水している。徒歩での避難もあきらめ、2階で一夜を過ごした。
近くに住む会社員の男性(58)は5日朝、道路や庭先に付着した海砂を洗い流す作業に追われていた。「この辺りは、南海トラフ巨大地震で津波が来ても浸水しない地域という想定だった。でも高潮がやすやすと護岸を越えた。今後、地域の防災計画を見直さざるを得ないのでは」と話す。
普段は釣り人でにぎわう護岸の柵は折れ曲がり、漂着したコンテナが5、6個、岸に乗り上げていた。人工浜の潮芦屋ビーチでも複数のコンテナが砂浜にめり込み、がれきが散乱していた。毎日、釣りに訪れるという同市高浜町の男性(80)は「芦屋に住んで50年近くになるが、こんなことは初めて」と驚いていた。(西見誠一)