シェアハウス融資で不正があったスルガ銀行の株式の5%超を保有していた米運用会社の日本法人「ブラックロック・ジャパン」が、保有分の半分程度を売却したことがわかった。6日付で関東財務局に提出された大量保有報告書によると、保有割合は5・03%から2・61%に低下した。一連の不祥事でスルガ銀の株価は昨年のピーク時の5分の1程度まで下落している。(新宅あゆみ)
スルガ、個人向け融資が突出
東京商工リサーチは6日、シェアハウス融資で不正があった地方銀行のスルガ銀行(静岡県沼津市)について、他の地銀と比べて個人向け融資の割合が突出して多いとする調査結果を発表した。収益の柱だった個人向け融資で不正が多発し、今後の経営再建は流動的で「地域への影響もあわせた検証が必要だ」としている。
調査リポートによると、スルガ銀の貸出残高は3兆2459億円で、このうち個人向けが9割超の2兆9259億円を占めた。貸出残高が同じ程度の第四銀行(新潟県)は、個人向けの割合が全体の2割超の7696億円。スルガ銀を主要取引行とする企業は3999社と、第四銀(1万2287社)の約3分の1程度で、スルガ銀の個人向け偏重が鮮明だ。
スルガ銀を主要取引行とする企業のうち、不動産業が5・7%を占め、静岡県内に本店を置く地銀4行で最も高かった。逆に製造業は9・7%と、4行で唯一、1割を切っていた。
東京商工リサーチは「高収益の源泉だった個人向けの新規貸し出しは大きく減少している」として、中長期のスルガ銀の経営の行方に注目しているとした。(福山亜希)