日本銀行の片岡剛士審議委員が6日、横浜市内での講演と記者会見で、今後の金融政策について「行うべき政策は追加緩和であり、金融緩和継続のための枠組み強化ではない」と持論を展開した。日銀は一定の金利上昇を容認する政策修正を決めたが、片岡氏は反対しており、改めて立場を鮮明にした。
日銀は7月末、緩和による国債の買い占めで民間の国債取引が減り、超低金利で銀行の貸し出し収益が悪化していることなどから政策修正に踏み切った。長期金利の誘導目標は「ゼロ%程度」を維持しつつ、事実上の上限を「0・1%程度」から「0・2%程度」へ上げた。
これに対し、片岡氏は緩和強化を主張する「リフレ派」の立場から持論を展開した。「『ゼロ%程度』としている(長期)金利の操作目標が徐々に有名無実化しうる懸念がある」とし、緩和の副作用についても、「特段の問題は生じていない」と述べた。
今後必要な政策としては、「金利の(上昇を容認する)弾力化を図るよりも、金利をより低下させることで追加緩和をすることが必要だ」とした。さらなる国債買い入れで金利を低く抑え、消費や投資を促して、「物価上昇率2%」の目標を目指すべきだとした。
日銀は政策修正で、当面は超低金利を続けることを約束する「フォワードガイダンス(先行きの指針)」も示したが、片岡氏は「(物価がなかなか上がらないという)現状の追認以上の効果があるのか判然としない」と、その効果を疑問視した。(榊原謙)