住民票などの発行システムの更新、看板の文字の貼り替え……。10月1日からの市制移行を前に、福岡県那珂川町で準備作業が大詰めを迎えている。全国で792番目の市誕生まで、あと1週間を切った。準備が慌ただしさを増している。
町役場の会議室。シール作製ソフトをインストールしたノートパソコンと、指定したサイズ通りにシールを切り出すプリンターから、「那珂川市」「市」などと印字されたシールが次々とはき出された。
市制推進室のスタッフは「『那珂川町』と書かれていた看板類の『町』の上に『市』を貼ったり、全体を『那珂川市』で覆ったりするシールです」。手直しが必要な看板類は町内に約8千カ所。29日ごろから職員らが貼り替えて回り、2週間以内に終えたいという。
大都市・福岡の中心部から約13キロ。都市化が進んだ北部に田園地帯の中部、自然豊かな南部――那珂川町はこんな地域だ。
1956年に南畑、岩戸、安徳の3村合併で発足した。当時の人口は8948人だったが、70年代から土地区画整理事業が進み、75~85年の国勢調査では人口増加率が3回続けて県内トップを記録した。
90年には新幹線の回送路線を利用したJR博多南線が開業し、交通アクセスも飛躍的に向上した。現在、最短8分で博多―博多南間が結ばれている。
町は民間から人口増加策推進員を採用したり、南畑地区への移住をてこ入れする「SUMITSUKE(移住交流促進センター)」を設置したりして、市制移行を視野に人口増加に力を入れてきた。
市になるメリットとして、町は…