福岡県柳川市の立花家史料館のキャラクター「雷切丸(らいきりまる)くん」が、全国の博物館や美術館のキャラクターの人気投票で1位を獲得した。最近の刀剣ブームに加え、キャラに扮する「役者」への好感度も後押ししたようだ。
全国の博物館や美術館、水族館、動物園などの紹介サイト「インターネットミュージアム」が主催する「ミュージアムキャラクターアワード2018」。2010年に始まり、9回目の今年は、全国から過去最多の71のキャラクターがエントリー。7月24日~9月6日のインターネットでの投票期間中、初挑戦の雷切丸くんは8559票を集めた。2位の「ふじかぐちゃん」(富士山かぐや姫ミュージアム、静岡県富士市)に1102票差をつけた。
史料館によると、キャラのモデルの雷切丸は、立花家初代戸次道雪(べっきどうせつ)の愛刀。ある夏の日、戸次が雷を斬ったとされる由来から、「雷切丸」と改名されて立花家に代々受け継がれ、現在も史料館に収蔵される。
雷切丸くんのイラストは15年12月にデビュー。歴史上の人物をわかりやすく描くことで定評のある大久保ヤマトさん(横浜市)の作品だ。史料館の植野かおり館長(57)は「刀剣の化身という難しいテーマに取り組んでいただいた」と話す。
朗報に大久保さんは「イラストを担当した者としても感無量。雷切丸くんと立花家が柳川の新たな魅力のひとつへとさらに成長していくのを期待します」とエールを送った。
受賞を後押ししたとされるのが、高校生で舞台俳優の山川源太さん(18)が務めた雷切丸くん役だ。市などのNHK大河ドラマ招致活動で、藩祖の立花宗茂役やその妻誾千代(ぎんちよ)役と、演出に一役買ってきた。柳川市の柳川藩主立花邸「御花」で、9月20日にあった受賞セレモニーには山川さんも登場。「1位をたいへん誇りに思う。多くのかたの応援があった」とあいさつした。
植野館長は、1位を射止めた理由に「プロが細部まで書き込んだ魅力的なイラスト」や、刀剣自体の人気を挙げ、「2次元のイラストと、2・5次元のキャラクターのPR活動それぞれが、多くの方から支持していただいた」と話した。(上田真仁)