高速道路会社のNEXCO3社(東日本、中日本、西日本)が管理する橋やトンネルで、早急な対策が必要と判断されながら、2年以上も補修されていない場所が1474カ所あることが、会計検査院の調査で判明した。関係者への取材でわかった。不十分な点検や記録の不備なども見つかり、検査院は適切な対策を実施するよう3社に改善を求める方針だ。
3社が管理する橋やトンネルは計12社の関連会社が点検し、見つかった損傷や劣化は、状態に応じて5段階に区分される。検査院は今年3月時点で、このうち最も状態が悪い「AA」と判定され、優先して速やかな対策が必要となる約6700カ所の補修状況を調べた。
その結果、補修のための工事契約が4579カ所で結ばれておらず、うち1474カ所は判定から2年以上、88カ所は4年以上が過ぎていた。また、補修予定が2年以上先の2020年度以降になると見込まれる場所も1850カ所にのぼるなど、点検結果が補修計画に適切に反映されていなかった。そのなかには漏水で周辺の部品に悪影響を及ぼしていた場所などが多数あったという。
検査院の検査では、トンネル内の側壁に設置された内装板の取り付け状況が十分に点検されていなかったことも判明。内装板があるトンネル110カ所のうち44カ所では内装板付近で漏水などが発生し、金具がさびるなどの劣化を起こしている可能性が考えられるという。
また、点検や補修の結果を記録するシステムには、点検した約12万カ所、補修した約3万カ所の写真が記録されていない不備も見つかった。NEXCO中日本管内では、16年度に点検した約2万9千カ所の記録が、以前の点検時の写真のままになっていたという。
3社は「会計検査院の検査を受けているのは事実だが、検査中なのでコメントはできない」などとしている。(高橋淳、田内康介)