稲垣吾郎=横関一浩撮影
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僕は、天才的な人物を演じる機会が多いんですよ。例えば、金田一耕助。映画「クソ野郎と美しき世界」でも天才ピアニストでした。そういう役をもらえる理由はわからないけど、雰囲気も関係しているのかな。
天才とは、生まれながらの才能があって、努力だけでは説明できないものでしょう。一番「天才」を感じるのは、音楽の世界かもしれない。歌ってその人自体が楽器のようなものだし、楽曲作りも理屈を超えたところがある。
11月から舞台「No.9―不滅の旋律―」で、ベートーベンを演じるんです。交響曲第9番、いわゆる第九が出来るまでを描いた物語。2015年以来の再演で、まだ自分の中にベートーベンが残っていたので、すごくいいタイミングでした。スイッチはオフになっているけど、主電源はつながってる、そういう感覚です。
実在の偉大な天才を演じるのは難しい。今回はBSTBSの番組でオーストリアの家やお墓を訪ね、遺書も見せてもらった。実人生に触れ、人間味のあるルートヴィヒさんというものが感じられたかな。
稲垣吾郎=横関一浩撮影
僕自身、ベートーベンの音楽は大好きです。怒りも喜びも悲しみも、隠さずに表現したという感じがしますね。かっこつけていない、素っ裸でスマートではない。だからこそ、心を揺さぶる音楽になっているんじゃないかな。
それは、彼が非常に多面的な人…