千葉県白井市にある県所有の草地に、10年以上前から、住民らが勝手に造ったゴルフ練習場がある。県は「無断使用は許されない」とするものの、対応に手が回らない。地元の自然保護団体は「草地の豊かな自然が損なわれる。早くやめてほしい」と訴えている。
場所は、白井市と同県印西市にまたがる約22ヘクタールの草地や湿地などの一部。県によると、1960~70年代に千葉ニュータウン事業の予定地として一帯を買収。その後、事業縮小に伴って事業区域から外れ、放置されてきた。このため、全国的に珍しい草原の動植物などが残った。印西市の調査ではトンボやチョウなど約180種の昆虫、約470種の植物のほか、約50種の鳥が生息しているという。
白井市などによると、約10年前の時点で、同市内の草地に4カ所、印西市内の草地に1カ所のゴルフ練習場ができていた。住民らが草を刈り芝生を張ってフェアウェーとし、中にはバンカーを設けたところも。花壇を造ってテーブルや椅子を備え、バーベキューをした痕跡もあったという。
これに対して県は「無断立ち入り禁止」の看板を立てて見回りし、「ボールが散策の人などに当たったら危険」などとゴルファーに注意してきた。ただ、「ずっと見張っているわけにもいかず、やめさせられないできた」と担当者はこぼす。
しかし、草地などの大部分が昨春までに、自然保護などを進めたい白井市と印西市に無償譲渡され、様子が変わった。印西市では県警から出向中の職員が見回りし、ゴルファーに「不法侵入なので、今度見つけたら警察を呼ぶ」と警告、昨夏までにやめさせたという。
動植物を守ろうと活動している…