鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催30回目を迎えたF1日本グランプリが閉幕した。日本人ドライバーの不在などで人気が落ちたとされる中、観客動員数は3年ぶりに増加。子どもや若者向けに格安のチケットを販売するなど、ファン目線で節目の大会に臨んだ関係者は胸をなで下ろした。
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決勝があった7日の観客数は8万1千人(昨年6万8千人)。開幕した5日からの合計は16万5千人(同13万7千人)で、いずれも昨年を約2割上回った。サーキットを運営するモビリティランドの菅谷康雄・プロモーション担当部長は「様々な企画を実現でき、多くのお客様にご来場いただけた」と、ほっとした表情を見せた。
「30回記念」を前面に打ち出した今回、入場券は好きなチームの絵柄を選べるようにした。さらに1日1千枚限定で、指定席券に1万円追加するとレース関係者がいるサーキット内側に入れる「インフィールドパス」を初めて販売した。これまでは超高額チケット「パドッククラブパス」(3日通しで約67万円)や「VIPスイートプレミアム」(同約33万円)などでしか入れない区域で、「内側に来られただけで興奮する」と大好評だった。
また「若いF1ファンを育てたい」と、3歳から中学生まではどの席でも3千円に。グランドスタンドの一部の席(V1席)も、昨年4万円以上だった高校・大学生向けの料金を1万円とした。若者向けの前売り券の売れ行きは昨年の2倍近くにのぼったという。
サーキット内での催事でも、かつてF1を走ったドライバーを多数ゲストに招き、当時の名車を運転してもらうなど充実させた。
鈴鹿市の山中直樹さん(52)は1987年の第1回も観戦したファン。この日は渋滞に巻き込まれないよう自転車で20分かけて来場し、会社の同僚と楽しんだ。「迫力や速さを感じられるので、生で見るのが一番。これからも鈴鹿で続いてほしい」と期待した。(中根勉、三浦惇平)
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