室町時代創業とされる歴史を誇った和菓子店「駿河屋」ののれんを受け継いだ「総本家駿河屋」。5月には販売店舗と喫茶スペースを併設した本社工場が新たにオープンした。伝統の「煉羊羹(ねりようかん)」や「本ノ字饅頭(まんじゅう)」が人気の同社が、新たな看板商品として6月に売り出したのが焼き菓子「板バウム」だ。
約4センチ四方、高さ3・5センチで、昔ながらの手流しようかんを思わせる板型の四角い形が特徴。生地とあんが幾重にも折り重なる和風のバウムクーヘンだ。
バウム生地には、きめ細かく、口溶けの良い伝統の砂糖「和三盆」が用いられる。生地にはさまれたあんには、本ノ字饅頭のあんを使用。ほおばると、上品な甘さが口いっぱいに広がり、口のなかでほどけていく食感が心地良い。
まんじゅうなど和菓子の多くは「包む」ことで味に広がりを持たせるが、板バウムは洋菓子のパイのように「重ねる」ことでおいしさを演出している。
この「発想の転換」について、同社の河合正規総務部長は、「通常は職人だけで作り上げる商品開発に、仏の有名な菓子会社『ジャン=ポール・エヴァン』に勤めていたパティシエが監修に加わったため」と話す。
和菓子と洋菓子のコラボレーションで誕生した新名物、板バウム。購入できるのは、本社工場のある小倉店とオンラインショップのみ。こしあんと抹茶味の2種類(税込み各303円)がある。(関宏美)
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総本家駿河屋 本社工場小倉店 和歌山市小倉25。午前9時~午後6時。年中無休(臨時休業あり)。電話073・488・1187。9月1日、小倉店のみで限定販売されていた「ザラメ糖入り かすていら」(税込み1080円)が全店舗で発売を開始した。