瀬戸内7県を拠点に活動するアイドルグループ「STU48」とともに瀬戸内各地の魅力を紹介し、西日本豪雨の被災地を応援する「瀬戸リスト」。第2回は、サイクリストに人気の「しまなみ海道」を訪れた。
「瀬戸リスト」これまでの軌跡
この鉄棒なに…?信濃宙花さん、あのアニメで知ってた
しまなみ海道は全長約70キロ。広島県尾道市と愛媛県今治市を島々や橋で結び、初心者も気軽に楽しめるのが特徴だ。藤原あずささん(20)=岡山県出身=と信濃宙花さん(15)=兵庫県出身=がサイクリングにチャレンジし、その理由を探った。
2人は、尾道市のサイクリスト向け複合施設「ONOMICHI U2」にある世界的な自転車メーカー「ジャイアント」で、スポーツタイプのクロスバイクを借りた。指南役としてしまなみ海道のサイクリング普及に尽力してきたNPO法人の宇都宮一成さん(50)が同行してくれた。
「普通の自転車とクロスバイクで速さが違うんですか?」。さっそく藤原さんから質問が飛び出した。「いい質問ですね~」と感心した宇都宮さんが、「普通の自転車はスピードが出ないようになっているんです。でもスポーツタイプの自転車はタイヤが細いから路面の抵抗も少ない。しかも筋肉が疲れないような姿勢で乗れるので、長時間、遠くまで走れるんですよ」と説明してくれた。
「ママチャリ」とは違い、まずサドルに腰掛けてから、片足をペダルに乗せてこぎ出すのがコツという。前と後ろで計12段あるギアは、坂道の傾斜に合わせて調節する。ブレーキは指2本で握ってかける――。そんなアドバイスを宇都宮さんから受けて、さあ出発。こぎ出してすぐに「すご~い、(ペダルが)軽っ!」と驚く藤原さん。信濃さんも「楽しい! もっと長い距離を走りたい」とにっこり。
路面に一本の青い線がずっと続いていることに気がついた。JR尾道駅と今治駅の区間を結ぶ「ブルーライン」だ。沿って走りさえすれば、道に迷わない。所々に地図もあり、初めて訪れた人にも安心だ。
同市の生口島には、鳥が羽を広げたような姿が美しい多々羅大橋がある。周辺を快走した後、同島のバスを改造した食堂「福ちゃん」に立ち寄った。トイレや空気入れを借りることができる休憩所「しまなみサイクルオアシス」の一つで、150カ所以上あるという。30年店を守る高木節子さん(74)の年齢を知り、2人は「わっか~い!」。豪雨で2週間ほど市内が断水したため、休業。猛暑も重なり客は激減した。「みんなが応援してくれるけえ、がんばってみよう思いよるんよ」。信濃さんは「この記事を読んで、また皆さんに来てほしいです」。
因島の「カフェテラス菜のはな」は、サイクリストでもある店主の岡野信亮さんが、「サイクリング中に気軽に寄れる店があったらいいな」と思って始めたという。サイクルオアシスを兼ねるようになる前から、自転車を掛けておくスタンドや空気入れなどを用意していた。
空気入れを借りた藤原さんは「しまなみ海道の皆さん一人ひとりが、サイクリストを支えてくれているんですね!」とうなずいた。(橋本拓樹)
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ふじわら・あずさ(20) 岡山県出身。ボルダリングが得意で、最近キックボクシングも始めた。甘いものも好きで、現在はまっているのはバウムクーヘン。
しなの・そらは(15) 兵庫県出身。剣道2段で、得意な決め手は小手。授業で卓球の面白さに目覚めた。寝るのが大好きで、どこでも寝られることが自慢。