CMの中で家事をする男性が増えています。研究結果によると、調理シーンでは女性を上回り、掃除洗濯シーンでも差が縮まってきたそうです。背景に何があるのか、専門家たちに読み解いてもらいました。10月11日は、女の子の人権やエンパワーメントの促進のため、国連が定めた「国際ガールズデー」です。
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食品や生活用品のテレビCMの中で調理や掃除、洗濯をする「主役」が、女性から男性に変わりつつある。そんな研究結果がまとまった。背景にあるのは、共働き家庭の増加などで、家事をする夫が増えていること。一方、描かれ方は「家事初心者」や「趣味家事」だという指摘もある。
「夫史上初のセリフ」という画面いっぱいの文字に続き、俳優の濱田岳さん扮する夫が「お、オレお皿洗おうか?」と切り出す。すると「妻3年ぶりのセリフ」という文字に続き、妻役の女性が「あ、ありがとう」。夫は「意外とかんたんじゃーん」と、うれしそうに皿を洗う。
日用品大手のライオン(本社・東京)が7月から流している洗剤「Magica」のCMだ。ブランドの責任者の鈴木彩子さんは、「説教くさいと耳を傾けてもらえない。感謝の気持ちが生まれ、夫婦の風通しがよくなることを、ポジティブに伝えたかった」と話す。ネット上では、皿洗いもしたことがない夫という設定を「今さら」ととらえる人もいれば、勇気を出して一歩を踏み出す夫に共感する声もあったという。
視聴率調査会社「ビデオリサーチ」の村田玲子さんと、大妻女子大の田中東子・准教授は、食品(2017年度広告出稿量上位12社分)と掃除洗濯用品のCMについて共同で研究。08年から昨年までの10年分、各年8月(大掃除用品のみ12月)に放送された15秒CMを調べた。
食品のCMの中で調理をしている人の性別は、2008年は女性8本、男性1本で、女性が圧倒的だった。しかし14年に初めて男性の本数が上回り、昨年はついに男性9本、女性3本に。掃除洗濯用品のCMは、まだ女性の方が多いものの、差は縮まってきている。08年は女性17本、男性5本だったが、昨年は女性19本、男性11本だった。=グラフ
村田さんは、「共働きや単身世帯が増え、夫に家事をしてほしいと考える女性や、実際に家事をする男性が増えていることによる変化だ」と分析する。15年ごろからは、女性ばかりが家事や育児をしたり、女性を性的に描いたりしたネット向けの宣伝動画の炎上が目立ち始めた。こうした動きも、企業が家族・家事観の変化に敏感になる後押しになったとみられる。
家事をする男性が増えてきたとはいえ、16年の総務省の調査では、女性の家事時間は男性の7・5倍だった。村田さんは「実態としては、まだ女性が家事の多くを担っている。そのためCMでも、男性が家事初心者だったり、やりたいところだけにこだわる『趣味家事』だったり、という描かれ方が目立つ」と話す。また、子どもがお手伝いをするシーンでは、登場するのが女の子ばかりなのが気になるという。
村田さんらは、学生と35~4…