全国で唯一、フグを専門に取り扱う山口県下関市の南風泊(はえどまり)市場が16日、現在の市場での営業を終了した。施設を建て替えるためで、今後は隣接の仮設市場で仮営業する。新市場は2022年度中に現在の場所でオープンの予定だ。
「最後」の競りは16日未明から行われた。競り人が威勢のいい声を上げながら、筒状の袋の中で指を握り合って価格を決める独特の「袋競り」で、三重県沖などでとれたトラフグを次々と競り落とした。
南風泊市場は1974年11月、唐戸市場から分離して開設された。漁船が大型化してフグの水揚げ量が増えて手狭になったためで、市場は水揚げしやすい広い岸壁やフグを生かすための水槽などを備えた。集荷・販売を一元的に扱っている。
市場を運営する下関唐戸魚市場の見原宏社長(63)は「長年この市場で競りをしてきたから寂しいし、育ててもらった感謝の思いもある。築地市場と違って4年後にはここに帰ってくる。仮設市場に移っても一生懸命、売っていきたい」と話した。(白石昌幸)