東京証券取引所で9日起きた株式売買システムの障害を巡り、東証と証券会社が対立している。顧客の売買注文を一時取り次ぐことができなかった証券会社は、成立したはずの取引と想定して対応。必要に応じて補償する対象となる注文は10万件程度の可能性があり、証券会社がいったん損失を被るケースが多そうだ。各社は東証にも責任があるとするが、東証は「賠償責任はない」との姿勢だ。
大量の電文、送信元はメリルリンチ 東証のシステム障害
東証誤算またシステム障害 電文データ異常な量は想定外
システム障害は9日、株式の現物取引が始まる前の早朝に起きた。米系のメリルリンチ日本証券が、通常の1千倍の量の通信確認データを東証の売買システムに送り、各社と東証をつなぐ4回線のうち1回線が停止。超高速売買を繰り返す海外の業者がメリルに送った通信確認のデータが原因とされる。
東証はシステムにつながる証券90社に対し、停止した回線から他の回線への切り替えを要請したが、約40社が切り替えに手間取り、顧客の売買注文を一時東証につなげなくなった。
証券会社は顧客から電話やネットで売買注文を受けており、約束通りに株式の売却や買い付けをしなければならない。今回の障害で顧客から注文を受けながら売買できなかった会社は、事後に顧客に対応する。
株式売買では必ずしも顧客の注文通りに売買が成立するわけではない。各社は9日の障害で影響を受けた注文のうち、成立した可能性が高い注文に対応。現時点で野村証券で約4万件、SMBC日興証券で約2万5千件の売買が成立した可能性が高く、他社も含めると10万件程度が成立した可能性がある。9日に実際に東証で売買が成立した800万件の1%程度だ。
各社は市況が変わった事後に顧客に対応するため、実際の顧客の注文時より高値で株式を買い付けたり、安値で売ったりせざるを得なくなる可能性があり、その場合は損失を被る。
■東証と証券会社、真っ…