金融庁は22日、金融機関のシステムが外部から違法な侵入を受けたことを想定したサイバーセキュリティー演習を始めた。銀行や仮想通貨交換業者など105社が参加して26日まで続ける。サイバー攻撃を受けたときの対応能力や機動力を底上げするのが狙いだ。
この日は複数の地方銀行が加わる共同システムにコンピューターウイルスが送り込まれた事態を想定。行内への注意喚起やウイルス対策の専門業者との連携方法について点検した。仮想通貨交換業者との演習では、顧客情報の外部流出が発覚した際、経営陣への報告や社内の連携、適切な広報の準備ができているかを確認する予定だ。
世界各国では最近、外部からパソコンを強制ロックし、持ち主が使えない状態にした上で金を要求する「ランサムウェア」の被害が続出。国内では仮想通貨の不正流出も相次ぐ。2020年に東京五輪・パラリンピックを控え、金融庁は日本の金融機関のシステムが狙われるリスクは高まっていると警戒する。担当者は「あらゆるサイバー攻撃を防ぐことには限界がある。攻撃を受けた後に適切な対応が取れるかどうかが大切だ」と語る。(山口博敬)