日本人ジャーナリスト安田純平さん(44)が取材に向かった内戦下のシリアは現在、反体制派が最後の大規模拠点とするトルコ国境のイドリブ県に追い込まれている。アサド政権を支援するロシアと、反体制派を支えるトルコが9月に同県での非武装地帯の設置で合意。トルコが同県の過激派組織の武装解除を説得中だ。 非武装地帯は今月15日が設置期限だった。設置の条件とされた過激派組織の撤収は設置期限を過ぎても実現していないため、危うい状況が続いている。 中でも注目されるのが、最大勢力「シャーム解放委員会」(旧ヌスラ戦線)の動向だ。国連などがテロ組織と認定し、戦闘員は1万人強とみられる。安田さんは、旧ヌスラ戦線に拘束されているとされてきた。 イドリブ県には約300万人の住民がおり、戦闘になれば、大勢の死傷者や難民・避難民が出ることは避けられない。国際社会が強い懸念を示したこともあり、現在までに政権軍の総攻撃は起きていない。 シリア内戦は2011年、チュニジアやエジプトの民主化運動「アラブの春」の影響を受けた市民らの反政府デモがきっかけだったが、アサド政権が武力で抑え込もうとした結果、一部の市民が武装を始め、戦闘に発展した。政権軍からも多くの兵士が脱走して反体制派に加わった。 アサド政権の崩壊を見込んだ欧米諸国やトルコ、サウジアラビアなどは、「弾圧される市民の保護」を理由に反体制派を支援。これに対し、シリアに軍事基地を置くロシアとアサド政権と同盟関係にあるイランは、シリアの主権尊重の立場から政権を支えた。 12年6月には、国連幹部が「内戦状態にある」と認定。混乱が広がるなか、イラクで勢力を拡大した「イスラム国」(IS)などの過激派組織もアサド政権に対抗する立場で台頭し、内戦の構図を複雑化した。 軍事的な均衡を破る契機になったのが、15年9月からのロシアによる大規模空爆だ。ロシアはISだけでなく、反体制派の武装組織もターゲットにした。これに勢いを得た政権軍は、16年末に最大の根拠地だった北部アレッポを奪還。その後、首都ダマスカス近郊や中部や南部の反体制派の支配地域を次々に制圧し、戦況の優位を固めた。 内戦終結に向けた国連主導の和平協議は、12年6月からジュネーブを舞台に始まったが、政権側と反体制派は実質的な話し合いに入れない状況が続いている。政権を支えるロシア、イラン、反体制派を支援するトルコが「呉越同舟」の別の枠組みで和平協議を進めるが、最終的に目指す形は異なるため、先行きは不透明だ。 ユーフラテス川の東側では、米国の支援を受ける少数民族クルド人の武装組織が国土の約3割を支配する。しかし、国境を接するトルコはこの組織を敵視しており、和平の話し合いには加われない状態が続いている。(イスタンブール=其山史晃) |
安田さん取材のシリア、今どうなってる? なお続く内戦
新闻录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
相关文章
拿捕のイラン船「行き先の確証得られれば解放」 英外相
うその求婚、性暴力2週間 「ISの娘なんか」家族孤立
「イスラム国」残党の暴虐 掃討されても、消えぬ苦しみ
イランタンカー船長ら保釈 英領政府、制裁違反容疑巡り
92歳のおばあちゃん、魂の訴え アラブ嫌い首相も拍手
米国の有志連合提案で高まる緊張 ホルムズ海峡とは?
ホルムズ海峡の有志連合 自衛隊派遣なら日本の選択肢は
イラン精鋭部隊、英タンカーを拿捕未遂 米報道
緊張のホルムズ海峡で追悼式 イラン航空撃墜から31年
リビア首都の移民収容施設に空爆、44人死亡
サウジ国務相「ゆすり行為だ」 イラン核合意制限破り
アフガン首都の国防省前で爆発 1人死亡、105人負傷
選挙やり直させ、それでも負けた トルコ与党連敗の衝撃
そのとき、信仰を捨てた エジプトの若者に広がる無神論
サウジの空港攻撃1人死亡 イエメン武装組織が犯行主張
野党候補、前首相に勝利宣言 イスタンブール市長再選挙
「尊厳とカネ、交換しない」米国の招待、拒否した理由は
イスタンブール市長選、与党候補敗北 再選挙が傷広げる
トルコ、知られざる軍事力 無人機もヘリも自前で生産
イラン、米の無人機撃墜 「領空侵犯」主張、米は否定
米偵察機撃墜「国連憲章に沿う行動」 イラン大使が書簡
イラク南部バスラにロケット弾 イラク人職員ら3人負傷
「タンカー全力で助けたのに」イラン大統領が米など批判
避難先のイランで、シリアへ派兵され アフガン人の苦難
イラン革命防衛隊「米の無人偵察機を撃墜」 緊張高まる










