かつて屋久島(鹿児島県)の国有林から切り出された屋久杉の丸太や輪切りの「円板」が、全国で活用されている。学校・博物館での展示物や大学の研究材料に姿を変えて、悠久の時を伝える。だが島の内外に散在し、大きさや樹齢、用途も不明だった。こうした情報を、地元と九州大学が協力してまとめた。
屋久島の東部、安房小学校の校舎の玄関をくぐると、長さ3メートル、周囲5メートルもある巨大な屋久杉の丸太が現れる。「いつ見ても、すごい迫力。1300年も必死に生きた姿を見ると何でも頑張れます」。5年生の神﨑清菜さん(10)は笑顔を見せる。
約50年前、教材として国から寄贈されて以来、児童はこの巨木とともに学校生活を送ってきた。常深章校長(53)は「我が校のシンボル。悩みがあれば、この木に会いに来てほしい」と卒業生にも伝えている。
大正時代に始まった国の屋久杉伐採は1982年まで続き、旧営林署(現森林管理署)が多くの丸太と円板を公共施設に寄贈。だが数や大きさ、所在地などの記録は、ほとんど残っていなかったという。
2007年、屋久島町立「屋久…