3勝3敗のタイで迎えた第43期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の最終第7局は1日、静岡県河津町の旅館「今井荘」で打たれ、午後5時30分、挑戦者の張栩(ちょうう)九段(38)が72手目を封じて1日目を終えた。持ち時間各8時間のうち、消費時間は井山裕太名人(29)が4時間48分、張挑戦者が2時間42分。対局は2日午前9時に再開する。
囲碁名人戦第7局をタイムラインで観戦
午前中の3時間で50手進むスピード進行だったが、昼食休憩を挟んだ午後からは、一転してスローダウン。4時間30分で22手と、焦点が絞りにくい手広い局面で、両者が熟考の応酬を重ねた。
黒番の名人は序盤、盤左側に構える相手の星の懐に飛び込む三々入りを連発。上辺の白陣にも潜入し、領地を稼ぎまくった。
対して挑戦者は上辺と左上に鉄壁を築き、60手目をまだ周囲にまったく配石のない盤中央に浮かべた。二つの鉄壁と連動し、大地形成をねらう雄大な構想だ。確定地で先行する名人は黒65と白模様に深く踏み込み、荒らしにいった。
解説の本木克弥八段は「午前中は黒の実利、白の勢力のわかりやすい構図でしたが、午後になって控室では訳が分からない難しい碁となりました。双方間合いを測りながら、大激戦の可能性もはらんだ緊張の局面が続いています」と話した。(大出公二)