トランプ米政権は5日、原油取引などを対象にした対イラン制裁を再発動した。5月に米国がイラン核合意から離脱したことに伴う措置。第三国もイランと原油取引をすれば制裁対象となるが、ポンペオ国務長官は同日の会見で、日本、中国、韓国など八つの国・地域を一時的な適用除外とすると正式に発表した。
ほかに適用除外となったのはインドとトルコ、イタリア、ギリシャ、台湾。対象除外となった国や地域も猶予期間は180日で、米国はその間に輸入をゼロにすることを求めている。
ポンペオ氏は、適用除外とした国や地域はイランからの原油輸入に「相当な削減があった」とし、「うち2カ国は完全に輸入を中止し、制裁発動中は再開もしない」と説明。一方で、イラン核合意の当事国で制裁の発動に抵抗している英仏独は除外されず、米国との溝を浮き彫りにした。ムニューシン米財務長官は「欧州各国には除外するとは言っていない。逆に米国の制裁を尊重するように言ってきた」と牽制(けんせい)した。
米国は原油や金融関連を中心にイランの700以上の個人や団体、船舶などを制裁対象に追加。ポンペオ氏はイランに対し「行動を180度転換させるか、経済の崩壊を見るかのどちらかだ」と迫った。また、「違反をした企業に、米国は速やかに罰を与える。イランとの取引は痛みを伴う判断になる」と警告した。
トランプ政権は8月に自動車部品や航空機輸出への制裁を発動。今回の第2弾は、イランの最大の収入源である原油を直撃しそうだ。
イランのロハニ大統領は5日の演説で「違法で残酷な制裁を堂々と回避し原油を売り続ける」と反発し、「米国の制裁は政府でなく国民を苦しめている。我々は米国と経済戦争状態にあるが、団結して乗り切ることが出来る」と主張。欧州諸国や中国などへ輸出を続ける意向を示し、制裁に屈しない姿勢を示した。
核合意の当事者の英仏独や欧州連合(EU)などは制裁に反発しているが、イランからは欧州企業の撤退が相次いでおり、イランは原油輸出減少などで経済危機に陥っている。(ワシントン=杉山正、テヘラン=杉崎慎弥)