前衛芸術家の草間彌生さんの作品展が７日から、中国・上海で始まる。上海では９月、草間さんの贋作（がんさく）の作品展が開かれ、草間さん側の抗議で中止となったばかり。その後、中国各地で贋作の展覧会が催されていたことが発覚した。今回は、草間さんが理事長を務める草間彌生記念芸術財団が認める正真正銘が並ぶ。

作品展を開く「ＯＴＡ ＦＩＮＥ ＡＲＴＳ」の大田秀則代表は３０年以上、草間さんの作品展示を手がけてきた。今春から上海での展示準備を進めてきたが、その頃から中国各地で草間さんの贋作の展覧会の話を聞くようになった。

９月に上海のショッピングモールでの展覧会を財団関係者と訪れると、全てにせもの。色合いや使っている紙の質が違い、一目で贋作と分かったという。弁護士に相談して調べたところ、今年４月以降、山東省青島市や広東省深圳市など少なくとも６カ所で同様の展覧会が催されていた。

今回の展示作品３５点の多くは、ここ３年ほどの間に草間さんが制作したものだ。大田さんは、贋作騒動の直後だからこそ、今回の作品展の意義が深まったと感じる。「にせものにだまされないためには、本物を見抜く目を養うしかない。この機会に本物の草間作品を見てほしい」と話す。

展覧会は入場無料で、来年１月２０日まで。（上海＝宮嶋加菜子）