「さくまいも」の焼酎で島おこし、愛知・佐久島の挑戦——贯通日本资讯频道
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「さくまいも」の焼酎で島おこし、愛知・佐久島の挑戦

三河湾に浮かぶ愛知県西尾市の佐久島は、島内あちこちに芸術作品がある「アートの島」として知られてきた。その島で、芋焼酎を名産品にする動きが加速してきた。その理由が知りたくてキーパーソン、鈴木喜代司さんを島に訪ねた。


――「さくまいもプロジェクト」が進行中です。


「佐久島のサツマイモを『さくまいも』と呼んでいます。それを使い、みりんや清酒を扱うメーカー、相生(あいおい)ユニビオ(愛知県西尾市)で焼酎をつくっているところです。JA西三河や西尾市の支援を受け、昨年から『島を美しくつくる会』でイモを育てています。来春は1千本ほどできます」


焼酎を特産品に


――なぜ芋焼酎を。


「アート作品や自然を求めて、島への観光客は増えています。昨年は約10万3千人が訪れました。でも、島の人口は減り続け約220人。これといったお土産がありません。そこで、昔から作っているサツマイモに注目しました。栽培は難しくなく、何より佐久島のイモで『さくまいも』ってわかりやすい。特産品にしようと、昨年は8品種を育てました。ユニビオさんの声かけがあり、焼酎の商品化へ向け、動き始めました」


「今秋はサツマイモを1・2トン収穫し、農協に買い取ってもらいました。猛暑や台風の影響で目標の2トンには届かず、来年は土作りを工夫します。無農薬にもこだわります」


――芋焼酎は南九州のイメージです。どうやってブランド化していきますか。


「東海で競合が少ないのはチャンス。プロジェクトには愛知淑徳大の学生も参加しています。私はアルコールは飲みませんが、学生によると芋焼酎はクセがあり、人気が下火になっていると。イメージを変えようと、ボトルは観光客の投票で洋酒をイメージしたデザインに決めました。詳細はまだ言えませんが、水や炭酸でもない、意外なもので割る飲み方も提案するつもりです。特産品として、島内の飲食店でも出せたら。焼酎用とは別に育てたイモも活用し、お菓子や天ぷらを作って島内のカフェに置いてもらいます」


定住促す環境を


――民宿を経営されていますね。


「アートによる島おこしで客室稼働率は良くなりました。個人旅行客が主です。(名古屋都心から)日帰りできるので、宿泊客はピークだった約20年前の3分の1です。当時は社員旅行で団体客が入り、宴会で自慢の魚も振る舞いました。焼酎を民宿でも扱い、宿泊客が増えることも期待します」


――プロジェクトのこれまでの効果をどう感じていますか。


「自給自足だった島のお年寄りも観光客のためにと、サツマイモ作りが楽しみになり、小遣いにもなりました。島の高齢化率は50%を超えています。交流人口を増やし、島で仕事ができるように定住を促進する環境づくりが喫緊の課題です。佐久島には都会にはない、四季折々の自然があります。広域から人を呼び込むためにも、愛知県を代表する焼酎に成長させたいです」(斉藤明美)



〈佐久島〉 愛知県に三つある有人島のうちの一つで、227人が暮らす。面積は東京ディズニーランドの約3倍の173ヘクタール、海岸線の総延長は約11キロメートル。島内に信号機はなく、潮風による塩害から建物を守るため、コールタールで民家の壁を塗った「黒壁集落」が残る。あちこちに現代の芸術作品が置かれ、年に数回ほどアーティストの展覧会やワークショップも開催されている。



〈島を美しくつくる会〉 佐久島の全島民227人でつくる島おこしの団体。1996年に発足。島の資源を活用し、経済的に発展して自立をめざす。2001年は行政と協働し、島内でアート作品を展示するイベントを開いた。景観保存に取り組み、今後は特産品開発にも注力する。



すずき・きよし 愛知県一色町(現・西尾市)の佐久島生まれ。カニやメバル、アサリ漁を営む。家族で民宿を始めたのは1965年。現在は、夕日の見える丘で民宿「さざなみ」を営む。「島を美しくつくる会」の初代会長を5年ほど務めた。2015年から再び会長に。63歳。


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