日産自動車は15日、日産ブランドとして中国市場に投入する電気自動車(EV)第1弾となるセダン「シルフィ ゼロ・エミッション」の現地工場を公開した。日本の報道陣への公開は初めて。シルフィEVを皮切りに中国での電動車戦略を加速させる。
公開したのは、合弁会社・東風日産の広州市の花都第2工場。1日90台を生産し、2019年は2万3千台前後を目標とする。日産は中国で19年のうちに、傘下ブランド「ヴェヌーシア」でさらに3車種の新型EVを投入する予定。ガソリン車を含めた中国での販売は、17年の約152万台から、22年までに260万台にする目標を掲げている。
シルフィEVは、日産ブランドとして中国で最も売れているガソリン車のシルフィに、EV「リーフ」の電動技術を搭載した。日産の増村心平シニアアドバイザーは「ファミリーカーとして累計240万台以上売れているシルフィにEV技術を入れることで、他メーカーと差別化を図れる」と話す。補助金を受けた価格は16万6千元(約270万円)前後でリーフよりも安い。
日産は広州のほか、中国に三つの組み立て工場を持つ。広州工場では主にシルフィを含めたセダン車を生産しているため、シルフィEVの生産拠点となった。
中国では来年から、自動車メーカーが生産・輸入する新車の一定割合をEVやプラグインハイブリッド車(PHV)といった新エネルギー車(NEV)にするよう義務づける規制を導入する。このため、日系メーカーは中国でのNEV生産を急いでいる。
ホンダは年内にSUV(スポーツ用多目的車)のEVを投入する予定だ。19年に武漢で新工場を稼働させるほか、広州の工場も増強する予定。トヨタ自動車も20年にEVを開発する計画。広州に年産20万台規模の新工場を建設する方針で、EVやPHVなどをつくるとみられる。(広州=高橋克典)