川崎重工業が、天然ガスからガソリンを作るためにトルクメニスタンで建設していた「ガス・ツー・ガソリン製造設備」(GTGプラント)の完工式が28日、現地で開かれた。輸入に頼ってきたガソリンを、国内に豊富な天然ガスで賄うことのできる初の施設だ。
トルクメニスタン国営ガス会社から2014年、川崎重工とトルコの建設会社が約1500億円で共同受注した。式には川崎重工や関係の日本企業から約100人が参加。トルクメニスタンのベルドイムハメドフ大統領も登壇し「わが国にとって、経済の多角化と国民生活の向上につながる大変喜ばしいことだ」と笑顔で話した。
GTGプラントは首都アシガバート北部の砂漠地帯に位置し、年間60万トンのガソリンが作れる。化学反応を利用してガソリンを作るため、原油を加熱分離する製法より温室効果ガスの排出が少なく、高品質のガソリンを作ることができるとされる。稼働中のGTGプラントは世界でみても数少ないといい、川重幹部は「このプラントをショーケースとしてほかのガス資源国にも広げていきたい」と話す。
トルクメニスタンは天然ガスの埋蔵量がロシア、イラン、カタールに次ぐ世界4位(BP統計、18年)。同様のプラントをさらに建設することも検討されているという。
トルクメニスタンはカスピ海の東に位置し、1991年の旧ソ連崩壊時に独立した。初代大統領が強力な個人崇拝体制を確立し、後継者となったベルドイムハメドフ氏も、首都に自身の黄金像を建てるなど、同様の路線を進めている。今回のような大型事業は全て大統領のトップダウンで決まるとされている。(アシガバート=小出大貴)