時紀行
高知県柏島の海底に広がるテーブルサンゴは、全国からダイバーが訪れる日本有数のダイビングスポットだ。周辺では1千種類以上の生物が確認され、黒潮がもたらす透明な海に潜ると、色とりどりの魚の群れが目の前を横切る。だが、こんな海も15年前の台風では壊滅的な被害を受けた。豊かな海は、どのように回復したのか。
連載「時紀行」バックナンバー
(時紀行:時の余話)移住決めた海の豊かさ 新種も発見
花崗岩(かこうがん)が崩れてできた白い砂浜の沖に広がる海は、青のグラデーションに彩られていた。濃い藍色、真っ青、薄い緑、透明に近い青……。高知市から西へ車で走ること3時間半。高知県の西端にある柏島(かしわじま)(大月町〈おおつきちょう〉)だ。
この「柏島ブルー」とも呼ばれる神秘的な青色を求めて、全国からダイバーが訪れる。大月町観光協会によると、島の人口377人に対し、昨年訪れたダイバーは、8122人。海の透明度が高く、太陽の光が海中に届きやすいことから、島周辺の水深2~10メートルに板状のサンゴが広がり、夏場は船底をガラスにしたグラスボートで海中を楽しむ観光客でにぎわう。
2003年、日本を縦断して死…