ふた夏の眠り、真珠が生まれる瞬間 豪雨襲った海はいま——贯通日本资讯频道
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ふた夏の眠り、真珠が生まれる瞬間 豪雨襲った海はいま

時紀行


日本一のアコヤ真珠生産量を誇る愛媛県。その中でも、宇和島市が中心産地だ。乱獲による天然稚貝の激減、病気による母貝の大量死……。幾つもの危機を乗り越えてきた産地を西日本豪雨が襲った。


連載「時紀行」バックナンバー


(時紀行:時の余話)丁寧な世話続け、だからこそ真珠


ナイフを貝に差し入れて開く。身を指で探ると袋状の部分からするん。ころんと柔らかな光を発する真珠が抜け出るように現れた。宝石が生まれた瞬間に息をのむ。


リアス式海岸に囲まれた愛媛の宇和海(うわかい)。浜から200メートルほど沖合で1本100メートルの綱に4、5メートル間隔でブイを並べ、その下に40個強のアコヤ貝の入った網を一つずつぶら下げてある。時には貝を開け真珠の様子を確かめながら育てていく。


9月上旬、ふた夏を越して育てる「越物(こしもの)真珠」をつくる木下幸蔵さん(41)の船に乗せてもらった。「貝をいじめたり優しくしたり。時期や海の状態を見ながら育てていきます」と木下さん。越物は真珠層が厚く巻き付いた希少な高級品だが、養殖期間が長いと貝が死んだり真珠が変形したりするリスクも高まる。核を入れて1年での出荷が主流の中で、決して割がいいとはいえない。それなのに、なぜ越物を? 「やっぱり、厚く巻いたきれいな珠(たま)をつくりたいですから」と言った。


「愛媛の漁業と県漁連50年史」は愛媛での真珠養殖は1907年が始まりと記す。それから111年。愛媛県はアコヤ真珠の生産量日本一を誇り、その中心が宇和島市だ。天然稚貝の乱獲や病気による母貝の大量死。壊滅の危機を乗り越えてきた産地は今、水害という新たな試練に直面している。



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