「メイジ、メイジ」。秩父宮ラグビー場の観客席から歓声が沸き、あちこちで紫紺の応援旗が揺れた。駆け寄って喜び合う明大の選手と、肩を落とす帝京大の選手のコントラストがピッチに浮かび上がる。18日、関東大学ラグビー対抗戦で明大が8年ぶりに王者・帝京大を23―15で破り、両校が5勝1敗で並んだ。
オールブラックスから復活へのヒント 明大ラグビー部
「重戦車、ですからね。スクラムでは負けられなかった」。明大のFW武井は勝因を聞かれ、ちょっと照れながら誇った。重戦車とは、1990年代まで大学ラグビーの主役だった明大の看板、強力FWのニックネーム。当時を知らない今の選手が、ほこりをかぶっていた伝統をよみがえらせるような力強さを発揮した。
開始早々からスクラムを制圧してリズムに乗った。13―8で前半を終え、流れを決めた後半3分のトライもスクラムが起点。8人が固くまとまって力を集約し、一気の押しで相手ボールを奪った。そこからの展開でゴールラインを陥れ、対抗戦8連覇をめざす帝京大を突き放した。
帝京大には昨季の全国大学選手権で20―21と惜敗している。今季は春の公式戦、夏の練習試合と明大が連勝したが、やはり対抗戦での白星は意味合いが違う。昨季から指導に携わる田中監督が手応えを深める。「2年かけてこだわってきたスクラムを出せた。この勝利で、選手たちがいい意味で自信をつけてくれたら」
対抗戦は両校に加え、4勝1敗の慶大、早大に優勝の可能性が残る。苦杯をなめさせられた帝京大の岩出監督は、10連覇がかかる選手権も見据えて言った。「選手たちは悔しいはず。悔しがった、その後が大事になる」
久しぶりに大学ラグビーが混戦模様だ。(中川文如)