宝塚歌劇団の花組トップスター明日海(あすみ)りおが、初の本格的なコンサートに挑む。舞台は、宝塚にとっても初となる舞浜アンフィシアター(千葉県浦安市)だ。主演作のナンバーから、平成を代表するポップス、ディズニーやクリスマスの名曲まで。「宝塚が劇場を飛び出してここに来たよ!というスペシャル感を届けたい」。トップに就任して4年半。相手役の仙名彩世は来年4月で退団する。「彼女と出会ってさらに幅を広げることができた。これからもサプライズを見せて、走っていきたい」と語る。
ホールは東京ディズニーリゾートのすぐそば。「駅に着いた瞬間から高揚感を感じる、私も大好きな場所。劇場に行くまでの道のりもワクワクする。その先にもっと楽しいものがあった、と思ってもらえたら」。クリスマス前の時期に仲間とここで過ごせるのが「二重にも三重にもうれしい」。取材に満面の笑みを浮かべた。
円形の大型ホールに対して、出演者は花組18人と少数だ。「楽しんでいただくためには、とにかくエネルギーがいるし、自分たちも楽しまないと」。そんな稽古場は「大変ノリノリです」。ホールの模型を見ながら、通常とは違って放射状に並んで稽古を重ねている。
公演では、懐かしい主演作のナンバーを集めたコーナーがある。新しいファンが生で聴いたことのない曲を、と自ら選曲。バウホール主演公演の「アリスの恋人」「春の雪」の楽曲はぜひ入れたいと考えたという。
中盤では、平成元年から30年まで、毎年の代表曲のメドレーも。プリンセスプリンセスにAKB、ゴールデンボンバー、KARA……。メドレーの前半は母親が大好きでよく聴いていた曲が多く、幼い頃を思い出した。後半で、「この辺知らない曲が多いな」と考えると、宝塚音楽学校に入ってお掃除や、ダンス、歌のお稽古をわき目も振らずにやっていた時期だった。「歌と一緒に当時の自分がどんな風だったのかがよみがえる。音楽の魔法を感じます」
中学の時、大好きな浜崎あゆみのコンサートに行くため、静岡から東京まで友達と出かけたことも思い出す。バレエのお稽古の後、お腹(なか)がすいた時に何か買えるように渡されていたお金をこつこつため、自分でチケットを買った。「子どもだけで東京へ行くなんてすごい騒ぎなんですよ」。ステージまで遠くても、生で歌を聴くのが何よりうれしかった。その体験があるから、「その日その時の空気を感じて歌って、同じ空間にいる幸せをお届けしたい」。
相手役の仙名(せんな)彩世(…