米インド太平洋軍トップのデービッドソン司令官(海軍大将)は29日、米ワシントンでテレビ中継を通じて講演し、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の一環で途上国に行っているインフラ支援について「借金漬け外交という経済的ツールを用いた極めて悪質な手法」と批判した。
デービッドソン氏は一帯一路について「(中国の)資金の使い方は国際秩序を尊重していない」と指摘。中国による南シナ海の軍事拠点化にも強い懸念を表明し、「中国は国際秩序を変更しようとしている。自国の主権を守るためと言っているが、ほかの国々の国際法に基づく主権を侵害している」と批判した。
一方、デービッドソン氏は米国が一帯一路に対抗して掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想に言及し、中国の振る舞いを変える方法は「国際社会が圧力を加え、中国の指導者が『自由で開かれたインド太平洋』構想がこの地域をより良くするものだと理解することだ」と指摘。「強い国々がこの構想のもとで団結すれば、中国の影響下にある国々に(中国に)『抵抗しても良い』というシグナルを送れる」と語った。
デービッドソン氏は5月末、ハリス前司令官(現駐韓大使)の後任として就任した。(ブエノスアイレス=園田耕司)