韓国大法院(最高裁)が29日、戦時中に広島と名古屋の三菱重工業で働かされた韓国人の元徴用工や元女子勤労挺身(ていしん)隊員らが同社に損害賠償を求めた2件の訴訟の判決で、同社に賠償の支払いを命じた。新日鉄住金に続いて賠償命令が出されたことに対し、日本の経済界からは懸念の声があがった。
韓国最高裁、三菱重工にも賠償命令 元徴用工らの訴訟
日韓経済協会の是永和夫専務理事は同日、「日本だけでなく韓国の経済人も心配している。(二国間で)尊敬と信頼感がなければビジネスは成り立たない」と話し、日韓経済へ悪影響を懸念した。新日鉄住金の判決時には、同協会は経団連などと4団体で「憂慮する」といった声明を出しているが、今回は静観する。是永氏は「一つひとつ怒ってみてもしょうがない。今は韓国政府の対応を注目するだけだ」とも述べた。
この日、経団連の中西宏明会長はソウル市で、韓国の経済団体と共催する講演会に出席。経団連が日本政府と共同で推し進めるデジタル化政策について説明した。経団連の広報担当者によると、講演後に記者団の取材に応じ、「困ったことだ。悪影響がないように」などと語ったという。(加藤裕則)