ノーベル賞の授賞式に出席するため、出国前の関西空港で会見した京都大の本庶佑・京都大特別教授(76)の主な一問一答は次の通り。
本庶さん、ノーベル賞授賞式へ出発「和服で出席します」
「はたらく細胞」オプジーボの活躍は? 作者描き下ろし
「大変楽しみにしております。私の講演には、長い間のライバルだったり共同研究をしたりした人が世界中から何人かきてくれると聞いていますし、同僚もきてくれるので楽しみにしております。天気予報がたいへん寒いということでそれだけが心配ですが、これからしばらく気楽にやれたらいいなと思います」
――授賞式にはどのような服装で出席しますか。
「授賞式と晩餐(ばんさん)会、王宮招待の日は和服で行きます。借り衣装ではありません」
――ノーベルレクチャー(講演)ではどのようなことを話しますか。
「生い立ちも多少は言いますが、自分のライフヒストリーや研究の流れ、さらにどうやって今回の受賞対象となった研究に至ったか、さらにがんの免疫療法の話をします。受賞(の対象)は2002年ごろの業績までですが、それ以降も研究を続けていますので、その後の発展やこれからの展望など広範な話になります」
――準備で大変だったことは。
「講演の準備です。講演に使うスライドの細部まで間違いがないか。これはずっとアーカイブとして残るわけです。細かいところをよく見てみると、これまで使っていたものにいろいろ間違いが見つかりました。スライドを統一的な形にして一つのストーリーにしました」
――一番楽しみにしていることは。
「動画サイトでみると授賞式は華やかで、これまでいろいろ賞をもらいましたが、あれほど大がかりなパフォーマンスをするのはないので、どういうふうになるのか楽しみです」
――本庶さんの基金が京大にできました。若い人への思いをお願いします。
「日本の現状では非常に若い人への支援が細っている。プロジェクト型にやや偏っています。先日、内閣府の会議で安倍総理に申しましたが、基礎研究に対しての科研費が10年以上増加していないどころか、やや減少していることにびっくりしました。安倍総理にもそのデータを示してお願いしました。若い人が国の施策だけではなく、いろんな私も含めた国民のみなさんから支援をうけて、できるだけ安定的に自由にできる機会をつくっていきたいという思いです」
――基金の助成の対象はどうなりますか。
「基金の規模からいって、全国の人を対象にするほど大きなものではないので、京大の中で研究する人に限ると思います。京大で(若手研究者を支援する基金を)一つつくり、ほかの大学もそれぞれこういう試みがいいと思えばつくるという形がよいと思います。大学間の競争ということにもつながる。インセンティブになって、よい方向に働けばいいと思います」